『バベル』を観た。
菊池凛子が演じる聾唖の女子高生の映画だった。もちろん、他のストーリーもあるけど、あまり印象に残らなかった。
この映画でおもしろかったのは、聾唖の女子高生が、「聾唖者ー聴者」の関係を「身体の性」によって、「女ー男」の関係にズラそうとするところだ。
聾唖の女子高生は、聴者の男子高校生からナンパされるが、聾唖者だとわかり、男子高校生から避けられ、嘲笑されてしまった。
聾唖者は、ぱっと見では聴者に見える。
しかし、聴者と話すと聾唖者とカテゴライズされる。聾唖者独特の声や手話によって。
聾唖者のパッシングは難しい。
男子高校生から嘲笑され怒った聾唖の女子高生は、女性器を男性に見せたり、男性の前で裸になったりと自らを「女」であると提示するようになる。
つまり、聾唖の女子高生は、身体の性を用いて、「女」として自らをカテゴライズすることによって、「聾唖者」となることを回避しているのである。
身体の性を用いれば、男性には、「聾唖者ー聴者」の関係ではなく、「女ー男」の関係として理解されると期待したのだ。